総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻のすすめ

本日は大長文につき失礼します.昼前に出勤して同じ研究グループの先生方と昼食会.話のテーマは昨今の懸案であるうちの大学院の5年一貫制について.わたしの母校であるところの総合研究大学院大学(以下総研大と略します,長いから)は,誰もその存在を知らないのですが,それはある意味当然で,なぜならこの大学は博士後期課程(ドクターコース)しか持っておらず,しかも情報系は3年前にできたばっかり.要はぼくは1期生で,その1期生がようやく修了して世に出たところなので知名度はあるはずもない.ところがというか何というか,来年4月からは博士後期課程だけでなく,前期課程を設置して,5年一貫でドクターを取るコースができることになっている.で,問題は,世間の学部4年生にどうやってこの新しいコースを説明し,アピールしたらよいのかと,そういう話.まあ,正直なところ,大変だなあとしか言いようがない.学部4年で総研大の名前を聞いたことのある人は皆無であろうし,だいたい,先生の研究内容で大学院を決める感心な学生がいるとして,その先生は国立情報学研究所(以下NII,こっちはそれなりに有名)の名前で論文を書いたりしているわけで,総研大とNIIの関係など知るよしもない.さらに問題は5年一貫という部分にもあり,どこの誰が学部4年(もっと言えば3年)の時点で「自分はドクターを取る!」と決意するのだろう...百歩譲ってそういう奇跡的な学生がいたとして,普通は旧帝大か,最初から海外に出るのではなかろうか.とまあそんなこんなで人集め的には苦戦を強いられそうなうちの大学なのですが,誰もちゃんと書いたことのない(ってか卒業生であり現スタッフのぼくにしか書けないのか)総研大情報学専攻のよいところを挙げてみます.

国立
誰が何と言おうと国立.授業料は比較的安いです.私学も大学院は安くしてあるところは多いですけど.
NII
総研大情報学専攻は実質的にはNIIの大学院コースです.NIIは情報の分野で各大学を横につなぐための機関(大学共同利用機関)であり,それゆえ学術ネットワーク・コンテンツの集積地としての役割を担っています.この環境を利用してはじめてできる研究も多いです.
立地
情報学専攻に入るとNIIの建物で研究生活を送るわけですが,NIIの立地は日本の大学の中でも最高レベル.都心も都心,皇居のそばです.残念ながら普通の大学らしいキャンパスはなくて巨大なビルが1つあるだけですが,院生のフロアは14階にあって眺めは良好.ちなみに総研大の本部は葉山にあって,あたかもそっちに通い詰めるような雰囲気があるけど,実際は入学式,修了式とあと1回行くぐらいです.
スタッフ
学生を指導するのはNIIの教授・助教授・助手陣で,総数80名ほど.それに対していまの学生数は...なんと50名ほど.スタッフ1人あたりの学生数が1を切っていて,そのぶん指導も手厚い(はず).こればっかりは他の大学には真似できません.もちろんスタッフのレベルも重要ですが,これについては自分のことはさておき,高いです.東大と併任されている先生も多数(わかりやすい例で恐縮ですが).
留学生
NIIがいろいろな海外の大学と連携していることもあり,留学生が多いです.いまだと1/3より多いぐらい.自然とコミュニケーションを取る機会も多くなるので,居ながらにして英語の勉強に.
社会人学生
社会人学生もかなり多く,視野を広げるきっかけになるのでは.また,大学院として社会人を受け入れる態勢が整っているので,無理せずに仕事と両立できます(たぶん←やったことないので...).
初モノ
とにかく初モノにつき,世間の評判はないも同然.裏返せば大学の評判は自分が作っていくことになるわけで,これほどエキサイティングな環境はありません.
その他
個人的には.近所の神保町が古本と喫茶店の街で楽しいとか食事に困らないとか真下(一ツ橋記念講堂)でよく学会をやってるのですぐ覗けるとかネットが異常に速いとか近くの大学や研究機関との交流が盛んとかスポーツジムが好きなだけ使えるとかいろいろあります.

あとは,5年一貫の途中で気が変わったらどうなるのか,という懸念もよく聞きますが,それなりの手立ては打ってあるようです.基本的には,やった分だけちゃんと報われるようなシステムになっています(詳細は実際にお問い合わせを).宣伝文句を連ねるのも疲れてきたのでこのへんでやめますが,ぼく自身ここに入ってよかったと思っているのでもし気になる人がいたらどうぞ話を聞きに来てください.ふう.日記のつもりだったけど,いったんここで切りますー.