Researchmapのすすめ

screenshot少し前からぼくが所属する国立情報学研究所「Researchmap」というサービスが始まっています。Reseachmapは研究者が自分の成果を公開したりブログが書けたりするコミュニティーサービスです(他にもいろいろ機能があります)。

大向一輝 - 研究者 - researchmap

研究者向けコミュニティというと、これまで何度か立ち上がっては消えていった「研究者SNS」の一種か、と思われるかもしれませんが、つながりを作らないと回っていかないSNSというよりは、1人1人の研究者の活動が見える(見せる)サービスという位置づけです。たいていの研究者は自分のウェブサイトで成果リストを公開していますが、(研究者の目線で言えば)それを簡単に維持管理できるものと考えていただいてよいかと思います。

Researchmapの開発の経緯や目指すところは開発された新井先生のブログを読まれるのがもっともわかりやすいと思います。

ブログ記事の通り、研究者はほとんど成果のみによって評価されます(それがよいかどうかは別として)。研究費の獲得も次の職場を探すのも、すべては成果次第です。こう書くと当たり前のように聞こえますが、上司や同僚の暗黙的な評価も一切なしの、まあドライと言えばドライな世界です。

そういう状況の中で、誰でもアクセスできる成果リストは重要な役割を担っているのですが、維持管理がなかなか大変で、共著論文などなどを含めて完全なリストを作っている研究者は少数派だったりします。しかししかし、そんなことを言っていられるご時世でないのもまた確かで、職探し中の若手研究者や大学院生にはクリティカルな問題になってきました。(かくいう自分がまさに危機的状況なのですが…)

もちろん成果リスト自体はどこでも作れるわけですが、幸いResearchmapのSEO性能はけっこう高くて、自分の名前をググってみると上位に来ます(ぼくの場合は10位前後)。1からページを作るより、同じ情報を置くなら目立つところ・人通りの多いところに、ということでSEO目当てでResearchmapに情報を載せるのは「あり」だと思います。

また、基本的に研究者のためのサービスなので研究者が見ている、というのが重要なポイントです。実際、Researchmapに情報を載せた数日後にポジションのオファーが2件も来た、という夢のような話があったり(これは出来すぎの例ですが)、自分に関する情報が伝わるべき人に伝わっていないという状況が少しでも改善できればいいなあと思っています。

いろいろ書きましたが、残念ながら成果リストをメンテナンスする作業を劇的に改善してくれるわけではありません(それでも論文検索サービスから直接インポートできたり、普通に作るよりは楽です)。またユーザビリティなどについて最先端のウェブサービスと比較するとまだまだな部分もあります。このあたりは今後も継続的に改良できる体制ができているので(ぼくもコミット予定)、まずは使っていただいてコメントなどいただければと思います。

現在のところ、Researchmapは招待制ですが、お近くの方から招待いただくか、ぼくまでメールをいただければ招待させていただきます(研究者もしくは研究者の卵だとわかる方に限ります…あしからず)。メールアドレスはこちらに載せています。また、科研費番号をお持ちの方であれば直接登録も可能です。

おまけ:Researchmapのブログで論文検索サービスCiNiiをリニューアルするまでの経緯を書いています。よろしければこちらもどうぞ。

CiNiiの中の人日記